- デザイン料の計算ってどうやるの?
- デザインの見積書の書き方がわからない…
- 見積書のテンプレートをダウンロードしたい!
そんな方に『おすすめの見積書の書き方・作り方』や『正しいデザイン料金の計算方法』についてプロのグラフィックデザイナーが解説していきます。
目次
フリーランスのグラフィック・WEBデザイナーの見積書の書き方
まずはデザイナーの見積りの書き方について解説していきます。
デザイン事務所で教えてもらった見積もりを書くコツも紹介していくので、デザイナーの見積書の書き方がわからない方はぜひ参考にしてください。
デザイナーの見積書の書き方のコツ
デザイナーの見積書で最も大事なことは、見る人が『何に費用がかかってるのか、パッと見て理解できる』ことです。
デザインは一般的なモノやサービスと違って相場がありません。
デザイナーの力量によってデザイン費は変わるので相場のつけようがないからです。
1年目のデザイナーと20年以上デザインをしている有名デザイナーでは、同じデザイン料にはならないことは想像できると思います。
例えば東京で家を買おうと思ったら最低限数千万円することは容易に想像がつきますが、ユニクロのロゴが数千万円と聞いてもピンとくる人はいないでしょう。
ネットを検索すれば数千円からロゴを作るデザイナーもいますし「一体相場はいくらなのか…」とクライアントは混乱するでしょう。
そうやってクライアントが不安にならないためには、しっかり詳細を見積書に書くことが重要なのです。
初心者のフリーランスデザイナーがやりがちな見積書のNGな書き方
見積りをデザイン費だけで一括請求する人がいます。
上記の見積書のようにデザイン費一括請求では、一体何に費用がかかっているのか理解できないので、クライアントには不信感が生まれてしまいます。
ですので、デザインの見積もりを出す際は極力細かな数字を書くのがおすすめです。
上記は実際にクライアントに提出したデザインの見積書です。
このクライアントさんとは付き合いが長いので、ざっくりと書いている方ですが。。。
それでもデザイン費だけの見積書よりは、金額が具体的になって分かりやすいと思います。
クライアントやプロジェクトによっては、修正の回数(日付入り)やキャッチコピーの費用など、もっと細かく記入していくこともあります。
フリーランスデザイナーのデザイン料の計算方法
デザイン料の計算方法は人それぞれですが、デザイナーは自分の価値をしっかり見極めて、正しい価格で見積もりを出す必要があります。
デザイナーの見積もりある程度の知識も必要なので、まずは基礎的な部分だけでも覚えておくといいでしょう。
いくつかデザイナーの見積書の基礎知識を解説していきます。
デザイン料はあらかじめ提示しない
デザイン料を先に提示して仕事を募集するデザイナーもいますが、あまり正しい手法とは思えません。
クラウドソーシングサイトのように価格の提示が必須の場合は仕方ないですが、デザイン料を提示して仕事を募集するとクライアントは自然と金額で「商品を買う」意識を持ってしまいます。
しかしデザインは『金額ではなく価値で選ぶ商品』です。
デザイン料は、デザイナーの経験やスキル・プロジェクトによっても大きく変わるので、一定の金額を提示する方法では正しい金額を請求できません。
あらかじめ決めた料金で請け負って、金額を強みに契約を取り付けても損するだけなのでやめた方がいいでしょう。
デザイン料を計算する時に考慮するべきこと
デザイン料を計算する時に重要なことは以下の6つです。
- デザイナーの実力
- プロジェクトの規模
- スケジュール
- オプション
- 抱えている仕事の量
- 景気
上記をしっかり考慮してデザイン料を計算する必要があります。
順に解説していきます。
❶デザイナーの実力を見積もりに反映する
デザイナーは自身が受けてきた教育や積み上げた実績を考慮して自分のデザインの価値を決めないといけません。
単純に時給計算をする人がいますが、おすすめしません。
その理由を解説するのに役立つピカソの有名な話があります。
ピカソが公園で絵を描いていると1人の女性が自分の絵を描いてくれと話しかけてきました。
ピカソは彼女の依頼に応じて、少し観察したあと一筆書きで肖像画を描き上げました。
その作品は完璧で女性は感激しました。
女性:「いくらでしょうか?」
ピカソ:「5000ドルです」
女性:「どうしてそんな値段なの?たった1秒で描いた絵が高すぎる」
ピカソ:「私がこの絵を描くために費やした時間はこれまでの私の人生ですよ」
この話からわかることは、デザインを考えるのに使った時間と金額はイコールではないということです。
これまでにあなたがデザインに費やした時間はどのくらいでしょうか?
美大を出たなら学費も相当払っているはずです。
その苦労がすべて今のデザインに反映されています。
だからデザインの見積もりを考える時に時給で計算することはおすすめしません。
デザインにかかる時間はデザイナーの経験によって変わってくるからです。
ポーラシェアのデザイナーの見積もりに役立つ有名な言葉
もう1人デザイナーの有名な言葉も紹介しておきます。
ポーラシェア:『デザイン案を描く時間は、ほんの数秒です。でもをそれを数秒で描く力を身に付けるには34年かかりました。』
この言葉もデザイン料を時給で計算しない方がいい理由を的確に表していると思います。
アートとデザインではやることは違いますが、クリエイターは全員このことを念頭に自分の作品の価値を決めることが重要です。
❷プロジェクトの規模によってデザインの見積もり金額は変わる
デザインをするプロジェクトの規模によっても金額は変わります。
例えば大手企業のロゴデザイン費は数千万円になることもあります。
それに比べて、個人店のロゴは数万円からでもあります。
この差は何かというと、大手のロゴデザインは個人店に比べると作業が膨大だからです。
大企業では、いろいろな人がロゴを使用することが考えられるので、ロゴのガイドラインも作らないといけません↓
それに比べて個人店なら、ロゴを使うのはオーナーだけの可能性が高いので、ロゴのガイドラインを作る必要もなければ会社の歴史を調べる必要もないので、作業量や深い知識が少なくて済むのです。
❸デザインの見積もりは納期によっては割増料金(特急費)を設定する
納期が短い仕事では割り増し料金を請求する必要があります。
急ぎの仕事では厳しい条件下で仕事をしないといけません。
他の仕事のスケジュールを調整することもあるでしょう。
割り増し率は急ぎの度合いによっても変わりますが、大体20%〜50%が目安です。
デザイナーが見積もりで割増料金(特急費)を設定するメリット
割増料金を設定しないとクライアントによっては、少し余裕のあるスケジュールでも納期を早める傾向にあります。
誰だって早くデザインを仕上げて欲しいものです。
デザイナーも早く仕上げたい気持ちはあるのですが、クライアント全員が短納期で依頼してくるとスケジュールがうまくまわりません。
結果的に納期を守るためにデザインのクオリティが下がることもあります。
こうなるとクライアントとデザイナー双方にデメリットしかないので、どうしても早くして欲しい仕事以外は短納期で依頼されないように割増料金でデザイナーがしっかりと調整しましょう。
❹デザイン以外のオプションの見積もりの対処方法
デザイナーは、専門外の仕事を依頼されることもあります。
例えば、オリジナルイラストを作りたいと依頼されたら、知り合いのイラストレーターにその仕事を振って仲介手数料をもらえるように交渉するといいでしょう。
イラストは専門じゃないと断ってしまうよりは、クライアントにイラストレーターを紹介する方がお互いに有益です。
❺抱えている仕事の量によってデザイン料金の見積もり金額を上げる
実力がついてきてクライアントが増えると、キャパオーバーするタイミングがあります。
もしその時が来たらデザイン料金を上げるといいでしょう。
仕事を無理して引き受けるなら上乗せ料金を請求するのが妥当です。
それで離れてしまうクライアントとは、別れるしかありません。
フリーランスでやっていくには、そうやって自分の価値を上げていく必要があります。
❻景気によって仕事が少なくなってもデザイン料金は下げない
世の中が不景気になるとデザインの依頼はグッと減ってしまいます。
そういった時は値下げで対応するのではなく、『新しいクライアントを探したり』『WEBサイトやポートフォリオに力を入れる』といいでしょう。
しっかり自分の価値を発信して、景気がよくなった時に備えましょう。
安易に値段を下げても自分の価値を下げるだけです。
しっかり仕事に対応していて、デザイナーとしての実力もあるなら堂々と自分の価値に合った見積額を請求するべきです。
クライアントも仕事内容に満足していればデザイン料金を渋ることはありません。
デザイン料の見積もりを請求するときの注意点
デザイナーとして仕事をしていると、デザイン料の支払いを拒むクライアントが一定数います。
デザインの価値をしっかり理解できるクライアントばかりならいいのですが、デザイン教養のあるクライアントばかりではありません。
特にフリーランスの方は個人から仕事を受注することも多いので、しっかり対策することが必要です。
はじめてのクライアントからは、手付金を受け取るのがおすすめ
『どうしてデザインにお金がかかるのか、好きでやってるのだから無料でいいじゃないか』という考えを持っている方が少なからずいます。
そういう人を説得させるには、手付金を受け取るという対策がいいでしょう。
手付金を受け取ることで取りっぱぐれのリスクも無くなりますし、クライアント側も手付金を無駄にしたくないという気持ちでデザインに熱が入ります。
継続的に依頼してくれる方のデザイン料は後払いでも大丈夫ですが、はじめてデザインの依頼をしてくれたクライアントには手付金を設定するのがおすすめです。
手付金はいくら受け取ればいいの?
手付金の利率は30%〜50%くらいが目安です。
3万円くらいの仕事なら、手付金は10,000円〜15,000円くらいが妥当です。
利率については、クライアントと相談するといいでしょう。
まだ出来ていないものにお金を払うのはクライアントも不安になるでしょうから、お互いが納得できる利率に調整するのがおすすめです。
大手企業に対しては基本的には手付金を利用しない
大手企業はそもそも信頼があるので、手付金はあまり利用しないと思います。
私も後払い以外で請求したことはありません。
日本の構造上、大手企業の仕事は広告代理店を通してフリーランスに降りてくることが多いです。
ですので日本のフリーランスのデザイナーは下請けとして働くことが多いでしょう。
そうなると手付金の交渉はかなり難しくなります。
クライアントである広告代理店にデザイン料金が降りてくるのはデザインを納品した翌月であることが多いです。
そうなるとフリーのデザイナーにデザイン料金が降りてくるのは、さらに翌月です。
これが4次受けになれば、さらに支払いは遅れます。
そうなるとデザイナーも困るので、手数料を支払って早めに支払ってもらいます。
私の場合は手数料を支払わないと入金は3〜6ヶ月後で手形での入金になるので、分引きと言われる割引システムで手数料を支払って翌月に振り込んでもらってます。
フリーランスのグラフィック・WEBデザイナーにおすすめの見積書の作り方
フリーランスのデザイナーにおすすめの見積書の作り方は、会計ソフトに見積書作成ツールを利用する方法です。
テンプレートに合わせて金額を記入するだけで、会計にも反映されるので確定申告がかなり楽になります。
見積書の保管も会計ソフトのクラウドに保管されるので、クライアントに後から請求されてもすぐに取り出せます。
請求書、納品書、領収書も見積書からボタンひとつで変換できるので、会計ソフトを導入するだけで見積もり作成の作業時間が大幅に短縮できます。
おすすめのサービスは、『Money Forward クラウド』です。
ちなみに私もこれを利用していますし、この記事の解説で使用している見積書もMoney Forward クラウドのものです。
見積書作成ツールがついている「Money Forward クラウド会計(請求書)」
\1ヶ月の無料体験ができる/
Money Forward クラウドは会計ソフトです。
ですので会計はもちろんのことフォーマットに記入していくだけで簡単に見積書も作成できます。
見積書はPDFにしてメールで送ったり、書類にして送付するサービスもあります。
見積書を作成すれば帳簿にも自動で記入されるので、売上台帳を自動で作ることもできます。
フリーランスになって1年目は売上がそれほど上がらない人が多いでしょう。
ですが仕事が増えてくると見積書の管理は大変です。
自前のテンプレートでは、誰に請求して、どの見積書が支払ってもらったものなのか分からなくなるでしょう。
確定申告も自分でやる方が多いと思いますが、会計ソフトを利用すれば面倒な作業の大部分を自動化することができます。
私が利用しているプランで月額1280円程で経費にもなるので、コスパの良さもかなり感じています。
Money Forward クラウドでフリーランスのデザイナーが見積書を作る手順
実際にMoney Forward クラウドで見積書を作成していく方法を解説していきます。
⑴Money Forward クラウドにログイン後、『他サービス→クラウド請求書』
⑵左のメニューから見積書をクリック
⑶見積書を作成をクリック
⑷見積書の各項目を埋めていく
⑸完成した見積書は、保存したり、メールで送ったりできます。
Money Forward クラウドでは、上記のように簡単に見積書が作成できて売上データにも反映してくれます。
私も初めはデザイナーだからと自分でひながたをデザインして見積書を作っていたのですが、Money Forward クラウドに変えてから見積書の作成や管理が、ほぼ自動でできるので何でもっと早く導入しなかったんだろうと後悔しました。
無料体験もできるので、ぜひ試してみてください。
\1ヶ月の無料体験ができる/
まだフリーランスになってすぐのデザイナーだから見積書は無料で作成したい
『まだ仕事が軌道に乗ってないから、無料で見積書を作りたい…』
そんな人には『無料の見積書テンプレート』や『無料で使える見積書作成サービス』がおすすめです。
Money Forward クラウドでも無料の見積書テンプレートがダウンロードできる
先ほど紹介したMoney Forward クラウドでも、無料で見積書のテンプレートをダウンロードできます。
自分で管理するなら、この見積書でも十分でしょう。
Money Forwardの見積書テンプレート
無料で使えるフリーランスのデザイナーにおすすめの見積書作成サービス
無料で使えるおすすめの見積書作成サービスはMISOCAです。
デザイナーに限らずフリーランスの方がよく使っているサービスなので、無料で見積書を作りたい方にはいいでしょう。
無料で見積書を作成したいデザイナーにおすすめの「MISOCA」
\無料プランを試してみる/
MISOCAの無料プラン登録はこちら
MISOCAには無料プランがあるのですが、無料でも充分な機能をもっています。
見積書を無制限に作成できて、取引先も登録できます。
フリーランスデザイナーにおすすめの見積書の作り方まとめ
この記事では『デザイナーの見積書の作り方』や『デザイン費用の計算方法』について解説してきました。
見積書の作成には、会計ソフトの「Money Forward クラウド」や見積書作成ソフトの「MISOCA」がおすすめです。
デザイン費用の計算方法について、もっと勉強したいなら1冊本を読むといいでしょう。
私も過去に参考にした本があるので紹介しておきます。
ロゴをデザインするということ。
上記はロゴの本ですが、デザイン料の計算方法についてとても詳しく書かれています。
見積書の書き方はデザイナーとして企業に入社すると教えてもらえます。
いきなりフリーランスになろうと考えている方は、まずはプロのデザイナーとして経験を積むのがおすすめです。
現場でスキルと知識をしっかり身につけてからフリーランスになる方がトラブルも少なく安全です。
今は在宅でも働ける会社が多いので、デザイナー就職についても考えてみてはいかがでしょうか?
この記事が少しでも見積書作成のお役にたてば幸いです。
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