目次
1. はじめに
私は普段、販促物やロゴなど様々なデザインを手がけているグラフィックデザイナーです。
デザイン業務のスピードアップにAIがどれほど役立つか、実際の使い方を含めてご紹介します。
特に最近、AI技術がデザイン業界にも深く浸透し、プロフェッショナルなデザイナーでもその活用が進んでいます。
2. デザイン業界の進化とAIの影響
私の知らない時代の話ですが、1970年代から1990年代初頭までは、ほぼ全てが手作業で行われていました。
チラシ一枚でも手間がかかり、納期も1ヶ月程度が標準でした。
しかし、1990年代以降、コンピュータによるDTPが普及し、デザイン作業は劇的にスピードアップ。
納期も短縮され、1/5ほどのスピードで作業が進むようになりました。
さらに、最近ではAIの導入により、デザイン業務はさらに効率的になりました。
短納期のプロジェクトでも、AIの力を借りることで、質を落とすことなく迅速に対応できるようになっています。
3. AIがデザイン業務をどう変えるか
AIをデザイン業務に導入することで、作業スピードが向上するだけでなく、クリエイティブなアイデアの生成も助けてくれます。
特に、AIツールを補助的に使うことで、より質の高いデザインを短時間で完成させることが可能です。
初心者向けのアプリからプロ向けの高度なツールまで、AIの使い方次第でデザイン業務の幅が広がります。
4. プロが使うおすすめAIツール
Adobe Fireflyの活用法
私が主に使っているAIツールのひとつがAdobe Fireflyです。
PhotoshopやIllustratorに組み込まれているこのAIは、デザインの効率化に大きく貢献しています。
特に「生成塗りつぶし」機能は、画像の足りない部分を補完したり、不要な要素を削除したりするのに非常に便利です。
例えば、印刷用データにおいて、画像の「塗り足し」を作る際にこの機能を使うと、画像を無限に拡張することができ、デザインの幅が広がります。
使い方:
- 拡張または削除したい部分を選択する。
- 「生成塗りつぶし」ボタンをクリック。
- 必要に応じてキーワードを入力し、AIに画像を生成させます。キーワードを入れない場合でも、Adobe Fireflyが最適な画像を自動生成してくれます。
ChatGPTでのデザイン効率化
もうひとつ欠かせないのがChatGPTです。
特に色の組み合わせやデザインの方向性を考えるときに役立ちます。
例えば、「C100に合う色をCMYKの数値で教えてください。いくつか案を出してくれると助かります」と質問すると、AIが具体的なCMYK値で複数の配色案を提示してくれます。
これにより、ゼロから自分で色を試行錯誤する手間が省け、スピーディーにデザインが進みます。
さらに、ChatGPTはデザイン構成のアイデア出しにも便利です。
夜中に頭が働かないときや、煮詰まったときにAIからアドバイスをもらうことで、新たな視点が得られることがあります。
AIでの画像生成について
AIを使って画像を生成することも可能です。
ただし、AIが必ずしも希望通りの画像を生成するとは限らず、狙った画像が出てきたらラッキーという感覚で利用するのが現実的です。
また、生成された画像を使用する際には、著作権に注意が必要です。
特に、個人の顔やイラスト、ブランドが特定できるものは避け、あくまで著作権に抵触しない汎用的な画像を使うようにしましょう。
基本的には、デザインに使用する画像は素材サイトを活用するのがベストです。
しかし、予算が限られていたり、希望する素材が手に入らない場合は、AI画像生成を補助的に利用するのもひとつの手です。
素材サイトについて詳しく知りたい方は、この記事の最後におすすめの素材サイトをまとめたリンクを貼っておきますので、ぜひ参考にしてください。
AIによる画像生成の手順
画像生成の方法は簡単です。
例えば、バナナの画像が必要な場合、以下のようにChatGPTにリクエストを送ります。
私: フレッシュなバナナの画像を生成できますか?
ChatGPT: こちらが新鮮なバナナの画像です。フレッシュな雰囲気が伝わるシンプルなデザインになっています。
このように簡単に画像を生成できますが、注意点として、印刷に使用する場合は解像度に問題が生じることがあります。
そのため、画像を生成する際に「印刷に使用するため、解像度の高い画像を生成してほしい」とプロンプトに追加で伝えると良いでしょう。
プロンプトとは?
プロンプトとは、AIに対して指示を与えるための文章やキーワードのことです。AIは、このプロンプトを元にして画像を生成したり、文章を作成したりします。
具体的には、AIに「どんなものを作りたいか」や「どんな情報が必要か」を伝える役割を果たします。
例えば、AIにフレッシュなバナナの画像を生成してほしい場合、プロンプトとして「フレッシュなバナナの画像を生成してください」と入力します。
AIはこのプロンプトを理解し、その指示に基づいた画像を作成します。
ポイント:
- プロンプトが具体的であればあるほど、AIは正確に結果を出す傾向があります。
- 簡単な言葉でも十分ですが、細かい要望がある場合は詳細なプロンプトを入力すると良いです。
プロンプトはAIとコミュニケーションをとるための基本的な方法なので、使い方に慣れることで、AIを効果的に活用できるようになります。
また、生成された画像は通常、webp形式かつRGBカラーで出力されるため、Photoshopなどを使ってtiff形式に変換し、CMYKカラーに変更する必要があります。これにより、印刷データとして問題なく使用できるようになります。
5. AIデザインの注意点
AIを使えば全てが自動でデザインできるわけではありません。
AIはあくまで補助的なツールとして、デザイナーのクリエイティビティをサポートする存在です。
また、AIに依存しすぎると、独自性やオリジナリティが失われる可能性があるため、バランスを考えることが大切です。
6. AIでの著作権問題と対策
AIで生成した画像やデザインには著作権の問題が生じる場合があります。
特に商業利用する場合、AIが生成したものが他の作品と似ていたり、既存の著作物に近い場合があるので注意が必要です。
そのため、素材サイトや独自のデザインを組み合わせて、問題のない範囲でAIを活用しましょう。
7. まとめ
AIの進化はデザイン業界に大きな変革をもたらしています。
Adobe FireflyやChatGPTといったツールをうまく活用することで、デザインの質とスピードを両立させることができます。
しかし、AIに頼りすぎることなく、デザイナー自身のスキルやセンスを活かしてこそ、本当の価値が生まれるということも忘れずに。
おすすめのAIツールリンク集
- Adobe Firefly
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多用途に使えるAI。公式サイトはこちら→ ChatGPT公式サイト - デザイン素材サイトまとめ
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